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下町、湾岸の生活、inspireされたことなど綴っていきます

トーマス・マンの家具

小塩節さんの「トーマス・マンとドイツの時代 (中公新書)」を読みました。

作家トーマス・マンの生い立ち、作品を語りながら、「ドイツが世界を震撼させ続けた19世紀後半から20世紀前半に、『かくも世界に良きもの、美しきものをあたえた』のに、『再三再四かくも宿命的に世界の厄介者となったこの民族の性格と運命に潜む謎』」に迫る、面白い本でした。

その中で、マンが生涯に渡り、自分の本棚と机を大切に使っていた、という面白い挿話があります。

「本」ではなく、「本棚」というのが興味深いところ。

栗材の天井まで届く立派な本棚と書き物机が、ナチに没収されたミュンヘンの自宅から家事手伝いにより亡命先のスイスに運搬され、その後アメリカにまで運び、毎日仕事をし続けたという机。

亡命生活に自分の家具を持ち運ぶということは特異な現象ではなく、ドイツ人にとっては現在でも特別に珍しいことではないといいます。老人ホームに入る老人や長期休暇をとるバカンス旅行にもある程度の家具を持ち運ぶような国民性。亡命先にも、バカンスにも家具を持って行く「家具」は、もともと「持ち運ぶ」という意味があるという。

本中の書斎の写真に、この本棚と机が写っています。晩年の書斎を、家族が寄付したものをチューリッヒ工科大学が再現したものがあるらしい。

実際に見にいきたくなりました。



小々馬慶太
  1. 2008/07/21(月) 23:20:47|
  2. literature
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